人生フルーツ
2018年 02月 04日
レトロな映画館「高田世界館」で、「人生フルーツ」を観てきました。
1年以上前に封切りされた映画ですが、製作者が思った以上に評判がよくて、いまだに各地で再上映がされているようです。
私も、前から興味はあったのですが、やっと鑑賞。
かっては、自然との共生を目指すニュータウンを設計していた建築家の修一さん。経済優先の時代の中、主張が取り入れられず、いつの間にかそれらの仕事から距離を置いて、90歳。
勝手に趣味のヨットに大金を投入するは、自分の設計した団地で土地を買い雑木林や畑を作り始めるは、、のマイペースな夫に付き合ってきた妻の英子さん87歳。
この二人のゆったりとした日常を淡々と描いていきます。
制作者は、膨大なフィルムを撮りながら、作品になるものが本当に撮れているのかわからない、と悩んでいたそうです。
編集作業もきっと大変だったことでしょう。
でも、私たちは、この映画から、戦中戦後を哲学をもって生きてきた修一さんの一生。それに共鳴して、丁寧に生活を紡いできた英子さんの暖かさを受け取って、優しい気持ちになると同時に、襟を正された気分にもなります。
修一さんに最後に依頼された仕事は、精神を病んでしまった人たちのための回復施設の設計へのアドバイス。
90歳になって本当にやりたい仕事ができる喜びを語る修一さんに、胸が熱くなります。
ナレーターの樹木希林さんが繰り返しす言葉
「風が吹けば枯葉が落ちる。枯葉が落ちれば土が肥える。土が肥えれば果実が実る。こつこつゆっくり人生フルーツ」
繰り返す度のニュアンスのわずかな違いに、さすがに名女優さんだなぁ、と思ったことでした。
この映画を観た「高田世界館」、座席によっては、古すぎてあまり座り心地が良くないし、暖房はなんと石油ストーブ。
でも、映画の合間に何十年前の高田の豪雪の記録フィルムを流したりして、なにか嵌まりそうです(笑
見ていただいて、ありがとうございます。
by arujue
| 2018-02-04 22:41
| 映画